第五章 業務15 第四節

第四節 指定保管機関

(指定等)

第六十三条の三 第四十一条の二第一項第一号の指定(以下この節において「指定」という。)は、宅地又は建物の売買(第四十一条第一項に規定する売買を除く。)に関し、宅地建物取引業者に代理して手付金等を受領し、当該宅地建物取引業者が受領した手付金等の額に相当する額の金銭を保管する事業(以下「手付金等保管事業」という。)を営もうとする者の申請により行う。

2 前節(第五十一条第一項、第五十七条から第六十条まで及び第六十二条第二項第六号を除く。)の規定は、指定保管機関について準用する。この場合において、第五十一条第二項第三号中「政令」とあるのは「国土交通省令」と、同条第三項第三号及び第五十二条第四号中「保証委託契約約款」とあるのは「手付金等寄託契約約款」と、第五十一条第四項中「保証の目的の範囲、支店及び政令で定めるその他の営業所の権限に関する事項、保証限度、各保証委託者からの保証の受託の限度、保証委託契約の締結の方法に関する事項、保証の受託の拒否の基準に関する事項」とあるのは「手付金等の保管に関する事項」と、第五十二条第五号及び第七号ニ中「の規定により」とあるのは「又は第六十四条第一項の規定により」と、第五十三条中「書類」とあるのは「書類(事業方法書を除く。)」と、第五十六条第二項中「第四十一条の二第一項第一号」とあるのは「第四十一条第一項第一号」と読み替えるものとする。

(事業方法書の変更)

第六十三条の四 指定保管機関は、前条第二項において準用する第五十一条第三項第一号の事業方法書を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。

(寄託金保管簿)

第六十三条の五 指定保管機関は、国土交通省令で定めるところにより、寄託金保管簿を備え、国土交通省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

(指定の取消し等)

第六十四条 国土交通大臣は、第六十三条の三第二項において準用する第五十四条第一項又は第六十二条第二項の規定により指定を取り消す場合のほか、指定保管機関が次の各号の一に該当する場合においては、当該指定保管機関に対し、その指定を取り消し、又は六月以内の期間を定めて手付金等保管事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第六十三条の三第二項において準用する第五十一条第三項第一号の事業方法書(第六十三条の四の規定による認可を受けたものを含む。第八十二条において同じ。)によらないで手付金等保管事業を営んだとき。

二 前条の規定に違反して寄託金保管簿を備えず、これに同条に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は寄託金保管簿を保存しなかつたとき。

2 国土交通大臣は、前項の規定により手付金等保管事業の全部又は一部の停止を命じようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

3 第十六条の十五第三項から第五項までの規定は、第一項の規定による処分に係る聴聞について準用する。

 

指定保管機関は、不動産取引において買主が支払う手付金や中間金などの金銭を安全に保管することを目的とした制度の一部で、宅建業法に基づく「手付金等保全措置」の一つの方法として用いられます。

指定保管機関とは、買主が支払った手付金・中間金等を売主の倒産などから守るために、いったん金銭を預かって保全する機関です。 万一、物件の引き渡しがされなかった場合に備えて、そのお金を返還できるようにします。 指定保管機関は、国土交通大臣の指定を受けた法人のみが担うことができます。 売主業者は、買主から物件引渡し前に手付金・中間金などを受け取る場合、一定の金額を超えると 指定保証機関による保証か指定保管機関による保管のいずれかで保全措置をとる義務があります。

現在の「指定保管機関」 2024年時点で国土交通大臣により指定されている代表的な保管機関は: 名称 備考 株式会社 東京法務局供託サービスセンター 保証金の供託・信託保全に対応 株式会社 住宅あんしん保証 保証機関としても、保管も対応可能 三井住友信託銀行 など(信託方式) 金銭信託での保全に対応 ※主に信託会社や保証専門法人などが指定されます。

指定保管機関の役割・仕組み 売買契約締結後、買主が手付金を指定保管機関に預け入れる 売主は、保管機関から「保全されている証明」を受ける 不動産の引き渡しが完了した後、売主に保管金が渡される 引き渡しがなされなければ、買主に返還される

特に高額な物件や、買主側のリスク管理が重視される場合に活用される 一般的には保証方式(指定保証機関)の方が主流ですが、信託方式による保管も増えてきています。