第六章 監督

 

(指示及び業務の停止)

第六十五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許(第五十条の二第一項の認可を含む。次項において同じ。)を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定若しくは特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(平成十九年法律第六十六号。以下この条において「履行確保法」という。)第十一条第一項若しくは第六項、第十二条第一項、第十三条、第十五条第一項若しくは履行確保法第十六条において読み替えて準用する履行確保法第七条第一項若しくは第二項若しくは第八条第一項若しくは第二項の規定に違反した場合においては、当該宅地建物取引業者に対して、必要な指示をすることができる。

一 業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき又は損害を与えるおそれが大であるとき。

二 業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき。

三 業務に関し他の法令(履行確保法及びこれに基づく命令を除く。)に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められるとき。

四 宅地建物取引士が、第六十八条又は第六十八条の二第一項の規定による処分を受けた場合において、宅地建物取引業者の責めに帰すべき理由があるとき。

2 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

一 前項第一号又は第二号に該当するとき(認可宅地建物取引業者の行う取引一任代理等に係るものに限る。)。 一の二 前項第三号又は第四号に該当するとき。

二 第十三条、第二十五条第五項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項、第三十一条の三第三項、第三十二条、第三十三条の二、第三十四条、第三十四条の二第一項若しくは第二項(第三十四条の三において準用する場合を含む。)、第三十五条第一項から第三項まで、第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十一条第一項、第四十一条の二第一項、第四十三条から第四十五条まで、第四十六条第二項、第四十七条、第四十七条の二、第四十八条第一項若しくは第三項、第六十四条の九第二項、第六十四条の十第二項、第六十四条の十二第四項、第六十四条の十五前段若しくは第六十四条の二十三前段の規定又は履行確保法第十一条第一項、第十三条若しくは履行確保法第十六条において読み替えて準用する履行確保法第七条第一項の規定に違反したとき。

三 前項又は次項の規定による指示に従わないとき。

四 この法律の規定に基づく国土交通大臣又は都道府県知事の処分に違反したとき。

五 前三号に規定する場合のほか、宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。

六 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が業務の停止をしようとするとき以前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。

七 法人である場合において、その役員又は政令で定める使用人のうちに業務の停止をしようとするとき以前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至つたとき。

八 個人である場合において、政令で定める使用人のうちに業務の停止をしようとするとき以前五年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至つたとき。

3 都道府県知事は、国土交通大臣又は他の都道府県知事の免許を受けた宅地建物取引業者で当該都道府県の区域内において業務を行うものが、当該都道府県の区域内における業務に関し、第一項各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定若しくは履行確保法第十一条第一項若しくは第六項、第十二条第一項、第十三条、第十五条第一項若しくは履行確保法第十六条において読み替えて準用する履行確保法第七条第一項若しくは第二項若しくは第八条第一項若しくは第二項の規定に違反した場合においては、当該宅地建物取引業者に対して、必要な指示をすることができる。

4 都道府県知事は、国土交通大臣又は他の都道府県知事の免許を受けた宅地建物取引業者で当該都道府県の区域内において業務を行うものが、当該都道府県の区域内における業務に関し、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該宅地建物取引業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

一 第一項第三号又は第四号に該当するとき。

二 第十三条、第三十一条の三第三項(事務所に係る部分を除く。)、第三十二条、第三十三条の二、第三十四条、第三十四条の二第一項若しくは第二項(第三十四条の三において準用する場合を含む。)、第三十五条第一項から第三項まで、第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十一条第一項、第四十一条の二第一項、第四十三条から第四十五条まで、第四十六条第二項、第四十七条、第四十七条の二又は第四十八条第一項若しくは第三項の規定に違反したとき。

三 第一項又は前項の規定による指示に従わないとき。

四 この法律の規定に基づく国土交通大臣又は都道府県知事の処分に違反したとき。

五 前三号に規定する場合のほか、不正又は著しく不当な行為をしたとき。

 

「監督処分」とは、主に宅地建物取引業者(不動産業者)などの免許事業者が法令に違反した場合に、行政庁(都道府県や国交省)が科す行政処分のことです。これは違反行為を是正し、業界の健全な運営と消費者保護を目的としています。

監督処分の主な種類(宅地建物取引業の場合)

指示処分 法令違反などが軽微な場合に是正を命じる

業務停止処分 一定期間、宅建業の全部または一部を停止

免許取消処分 宅建業の免許を取り消す(重大な違反・不適格)

指名停止(行政指導) 公共事業からの排除など(宅建業法外の処分)

主な違反内容 法令違反 宅建業法違反、重要事項の不告知、誇大広告など 資格不備 宅建士を設置していない、専任でない 金銭管理 預り金の流用、手付金保全措置違反 倫理的問題 詐欺的行為、顧客への虚偽説明、業法違反を繰り返す 経営状態 破産、暴力団との関係、欠格事由への該当など �

� 監督処分の流れ(概要)

違反の発覚(通報・監査・調査など)

調査・聴聞手続き(事実確認・弁明の機会)

処分通知(正式な処分命令)

公告・公表(行政庁のWeb等で公開される)

再発防止命令・是正指導

宅建業者にとっての影響 社会的信用の喪失 公共事業や取引先からの契約解除 宅建士や従業員の離職リスク 再取得に制限(免許取消後5年間は再免許不可) �

監督官庁 所管官庁 国土交通大臣免許業者 国土交通省(地方整備局など)

都道府県免許業者 各都道府県の住宅・都市整備部など

監督処分はあくまで「行政処分」であり、刑事罰や民事賠償責任とは別物です。ただし、重大な違反は刑事告発や損害賠償の対象になる場合もあります。